この記事の要点(2026年10月2日確認)
- 国税庁は、詐欺や恐喝による損失は「雑損控除」を受けられないと案内しています(盗難・横領は対象)
- 暗号資産の損益は原則として雑所得。雑所得の損失は、給与所得など他の所得と差し引きできません
- 所得税法51条4項に、雑所得の業務に使う資産の損失をその年の雑所得の範囲で必要経費にする規定があります。ただし、詐欺被害に当てはまるかは国税庁の資料に直接の記載がなく、個別の判断になります
- 判断は税務署・税理士に任せ、自分でできるのは「記録を残すこと」です
執筆:Altcoin-Dad(暗号資産・FXの投資詐欺などで100万円以上を失った被害経験者。仮想通貨歴8年)。税理士ではありません。この記事は国税庁の公表資料と法令を紹介するもので、個別の税務相談にはお答えしていません。
こんにちは、Altcoin-Dadです。暗号資産の詐欺にあったあと、確定申告の時期が近づくと「失ったお金は、税金の計算で何か扱いがあるの?」と気になる方もいると思います。
この記事では、国税庁の資料と法律の条文で確認できることだけをまとめました。「経費にできる」「できない」と決めつけることはしていません。最終的な判断は、税務署や税理士に相談してください。
前提:2026年分の暗号資産は原則として「雑所得」
国税庁のFAQでは、暗号資産取引で生じた利益は「原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます」とされています(国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」 2-2、令和7年12月最終改訂)。
なお、暗号資産を株式などと同じ申告分離課税にする改正は、改正後の金融商品取引法の施行日の翌年1月1日以後の取引から適用される予定です(2026年10月時点で施行日は未定。財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。2026年分の申告は従来どおりです。今後の税制改正で内容が変わることがあるので、申告の前に最新の情報を確認してください。
ポイント1:詐欺は「雑損控除」の対象外
雑損控除は、災害や盗難などで資産に損害を受けたときに、所得から差し引ける仕組みです。国税庁は、対象になる原因を「災害」「盗難」「横領」とし、「詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません」と案内しています(国税庁 タックスアンサーNo.1110)。
暗号資産の被害には、投資話にだまされてお金や暗号資産を送った「詐欺」のほか、ウォレットや口座から勝手に抜き取られた「盗難」に近いものもあります。ご自身の被害がどれに当たるかは、事情によって変わるので、自分で決めずに税務署や税理士に相談してください。また、雑損控除の対象になるのは、事業用の資産や『生活に通常必要でない資産』などに当たらない資産に限られます(タックスアンサーNo.1110)。暗号資産がこれに当たるかも含めて、税務署や税理士に確認してください。
ポイント2:雑所得の損失は、給与などと差し引きできない
国税庁のFAQでは、雑所得の計算上生じた損失は「給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできません」とされています(FAQ 2-11、タックスアンサーNo.1500も同じ)。暗号資産の損失を、給与にかかる税金の計算で差し引くことはできない、ということです。
ポイント3:所得税法51条4項という規定がある
所得税法51条4項には、雑所得を生ずべき業務に使っている資産や、雑所得のもとになる資産に損失が出たとき、その損失をその年の雑所得の金額を限度として必要経費に算入する、という規定があります(保険金や損害賠償金で補てんされる部分、雑損控除の対象になるものなどは除かれます)。
⚠️ ここは自分で判断しないでください
- 詐欺被害がこの規定に当てはまるかについて、国税庁のFAQ(令和7年12月最終改訂)には直接の記載がありません(2026年10月2日確認)
- 当てはまる場合でも、差し引けるのはその年の雑所得の範囲までで、給与など他の所得からは差し引けません
- どう扱うかは、被害の中身や取引の記録によって変わります。税務署や税理士に、記録を見せて相談してください
自分でできること:相談の前に残しておく記録
税金の扱いを判断するのは税務署や税理士ですが、判断の材料になる記録を残しておくことは、自分でできます。時間がたつと消えてしまうものもあるので、早めに保存してください。
- 暗号資産を買ったときの記録:取引所の取引履歴(いつ・いくらで・どれだけ買ったか)
- 送金の記録:送金した日時、数量、送金先アドレス、トランザクションハッシュ(TxID)
- 相手とのやり取り:SNSやメッセージアプリの画面、投資サイトのURLや残高の画面
- 相談した記録:警察や消費者センターなどに相談した日と窓口(受理番号などがあれば控える)
トランザクションハッシュの探し方は「暗号資産の詐欺被害にあったら最初にやること」で解説しています。
相談先
税金のこと
- 税務署:国税庁の「税についての相談窓口」で、電話相談センターや税務署での相談を案内しています
- 税理士:日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で探せます。暗号資産の取引に詳しいかどうかも確認してください
被害そのもののこと(無料の公的な窓口)
| 相談先 | 連絡先 |
|---|---|
| 警察相談専用電話 | #9110(緊急時は110番) |
| 各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口 | お住まいの都道府県警察のサイトから(警察庁の一覧) |
| 消費者ホットライン | 188 |
| 金融庁 金融サービス利用者相談室 | 0570-016811 |
| 法テラス(日本司法支援センター) | 0570-078374 |
「お金を取り戻せる」と持ちかけてくる業者に注意してください。金融庁は、被害回復をうたって近づいてくる者の中に詐欺グループの一員がいて、さらに被害にあった事例があると注意を呼びかけています(金融庁「投資詐欺等に関する利用者からの相談事例等と相談室からのアドバイス等」)。
税理士に「送金の流れ」を説明する資料が必要になったら
送金先や送金の流れを、税理士や相談先に見せやすい記録にまとめる送金経路の調査レポートも、Altcoin-Dadが行っています。税金の扱いの判断はしません(判断は税理士・税務署が行います)。
よくある質問
Q. 暗号資産の投資詐欺で失ったお金は、雑損控除の対象になりますか?
A. 国税庁は、雑損控除の対象を災害・盗難・横領による損害とし、「詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません」と案内しています(タックスアンサーNo.1110、2026年10月2日確認)。ご自身の被害が詐欺・盗難・横領のどれに当たるかは、税務署や税理士に相談してください。
Q. 暗号資産の損失は、給与所得から差し引けますか?
A. 国税庁のFAQでは、暗号資産取引による損益は原則として雑所得に区分され、雑所得の計算上生じた損失は、給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできないとされています(2026年10月2日確認)。
Q. 詐欺で失った暗号資産を、必要経費にすることはできますか?
A. 所得税法51条4項には、雑所得を生ずべき業務に使う資産などの損失を、その年の雑所得の金額を限度として必要経費に算入する規定があります。ただし、詐欺被害がこの規定に当てはまるかについて、国税庁のFAQに直接の記載はありません(2026年10月2日確認)。個別の事情によるため、税務署や税理士に相談してください。
Q. 2026年分の確定申告で、暗号資産は分離課税になりますか?
A. 暗号資産の申告分離課税は、改正後の金融商品取引法の施行日の翌年1月1日以後の取引から適用される予定です(2026年10月時点で施行日は未定。財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。2026年分の申告は従来どおりで、国税庁のFAQ(令和7年12月最終改訂)のとおり、原則として雑所得として扱われます。今後の税制改正で変わることがあるので、申告前に最新の情報を確認してください。
最終更新:2026年10月7日。確認した資料:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月最終改訂)、タックスアンサーNo.1110・No.1500(いずれも令和8年4月1日現在法令等)、所得税法51条(e-Gov法令検索)、財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)。2026年12月に公表される予定の税制改正大綱を受けて、内容を見直します。本記事は一般的な情報の紹介で、個別の税務相談や税務判断を行うものではありません。記載内容に誤りがある場合はお問い合わせからご連絡ください。